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写真の道が遠くなる写真の会社

先日、朝日の報道でコニカミノルタが個人ユーザー向け写真ビジネスから撤退するという情報が流されました。実はこの報道はフライングで、コニカミノルタは現在売上の20%を占めている個人ユーザー向け写真・カメラビジネスについては10%以下とし、その分、医療分野でのビジネスや、液晶の表面フィルムなど業務用の仕事に力を入れていくというものでした。

コニカミノルタは皆さん殆どの方がご存知のように、最近、コニカとミノルタが合併・・実質上はコニカによるミノルタの吸収・・によって出来た会社ですが、いずれも歴史は古く、特にコニカの前身たる「小西六写真工業」は、その源を訪ねれば明治にまで遡り、初の国産フィルムや国産カメラを創り上げた名門です。
現在の写真技術の中でも、自動露出、オートフォーカス、カメラ内臓フラッシュ、日付写しこみ、フィルム自動給走、高感度フィルムといった、基礎的なものの発明はこの会社によるところが大きいのです。

もう一方のミノルタという会社は、なかなか味わいのある会社で、関西で唯一の一般向けカメラ製造会社として知られていました。
ミノルタの傑作には戦後すぐのミノルタオートコード、高度経済成長時代のミノルタSR-1、初の全自動システムカメラミノルタαー7000・・写真文化をひろく大衆のものとした会社でもあります。

この2社が合併して出来た会社・・それが写真から一定の距離を置くというのですから、事態はただ事ではありません。
今や発売されるカメラの90%はデジタルカメラで、その分野ではキャノン、ニコンの健闘が続いていますが、すでに撤退をした京セラ、大幅縮小を決めたオリンパスに続いて、波に乗れない会社が出来てしまったわけです。
家電メーカーが参入するカメラという世界にあって、カメラメーカーという味をしっかり残した製品・・それもこれまでのユーザーにも充分注意を払った製品がしっかり売れているのに対し、個性の見えない、他社製品に埋没する製品では太刀打ちが出来ないということでしょうか?

コニカミノルタが満を持して発売したαー7デジタルは、カメラマニアの心をくすぶるものをもっていましたが、既に一眼デジタルではニコン、キャノンの先行ぶりが響き、その中に割って入ることが叶わなかったということでしょうか?
製品の発表が遅れる間に、同社のこれまでの顧客は先行2社に吸い取られてしまっていたのでしょうか・・

実はミノルタはデジタル一眼レフでは何処よりも先駆けて一般向けの製品を供給した会社でした。
何を間違えたか、そのシステムは同社既存の一眼レフシステムαシリーズとの互換性を全くなくしたもので、結果としてこれが売れず、一からシステムの構築をする羽目に陥ってしまい、先行2社に大きく遅れたというのが、同社不振の原因でした。
営業戦略の失敗といってしまえばそれまでかもしれませんが、その当時、ライバルだったキャノン、ニコン両社が既存システムを完全に生かしていく道を模索し、試作を繰り返し、先ずは業務用カメラとして発売して市場の反応を見ていたのとでは誠に対照的でした。

一つの失敗が、会社全体の足を引っ張る場合もあります。
製造拠点を全面的に中国に移管したこともファンの心理を離れさせたという人もあります。
(先行2社も海外での製造拠点を持っていますが、全面的に移管をしているわけではありません)
同じ頃、複写機で全国コンビニチェーンと契約を結びながら、コンビニ特有の激しい使われ方に同社の機械が対応できなかったという噂も聞いています。
結果として、ミノルタの経営体力は大きく低下し、コニカに吸収されたものの、新しい会社もまた・・写真業界の激変について来れなかったわけです。

新方針で会社の経営体力が向上することを願うしかないのですが、個人ユーザーの心がかなりの面で離れてしまった今、業務用の大きな市場で顧客の心をつかむことが出来るのか・・
写真業界の片隅にいるものとして、とても心配しています。

一度、道を踏み誤ると、とんでもない世界が待っている・・激しい経済界の様子がこの会社から伺えるような気がしてしかたがありません。写真の道が遠くなる写真の会社_e0010246_11302034.jpg
by MYP2004 | 2005-11-12 11:31 | 神戸舞子から世間を見ると
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