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風林火山

NHK、再来年の大河ドラマ・・
以下、NHKのホームページから引用させていただきます。

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新番組のおしらせ(9/5)

2007年(平成19年)の大河ドラマは「風林火山」です。



戦国時代の乱世、最強軍団といわれた甲州武田軍。その軍旗は「風林火山」。
古代中国の軍略家・孫子の言葉に基づいている。
武田軍の孤高の軍師・山本勘助 (やまもとかんすけ)。
勘助は武田信玄こそが唯一の覇者と信じ、戦い、そして川中島の大合戦に散っていく。
夢と野望、愛と憎しみ、謀りごとと裏切り。
大河ドラマ第 46 作「風林火山」は井上靖の不朽の名作をドラマ化する、戦国ロマン大河の決定版です。

<企画意図>

 「風林火山」は、明日はどうなるかわからない乱世の戦国時代に、。夢に向かって生き抜いた人々、夢なかばにして破れ散っていった人々。それぞれが夢に賭ける覚悟や無念、その美しさをダイナミックに描きます。


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僕は井上靖さんの「風林火山」は大ファンなのですが、その作品を読むにつけ・・NHK発表の企画意図は原作者の意図と違うように感じてなりません。
武田信玄に関しては、新田次郎氏「武田信玄」、津本陽氏「武田信玄」の2作も含めて、時々読み返しながら、この中世の花といわれた人物の奥深さを味わっているのですが・・実は僕は戦国物のファンでもあるのです・・しかし、今回のNHK発表は首を傾げざるを得ないのです。

運命を定めとして生きる人々の愛と夢の物語です

これ・・僕には井上靖氏の作品からは愛と夢は・・あまり感じず、戦国の世を渡ろうと、うごめく人間の宿業を描いた作品であるような気がして仕方がありません。
作品発表時には由布姫への山本勘助の恋のようなことが言われていたように思いますが、作中の山本勘助は、武田晴信と由布姫をまるで親のような情愛で見ているように感じるのです。

更に言えば、井上靖氏の「風林火山」は小さな単行本です。
読みきるのにそれほどの時間はかかりませんし、そこに出てくるエピソードも多くはありません。
それは2時間ドラマや、映画の原作としては適当であっても、1年間、毎週45分の放送をする大河ドラマの原作として果たして適当なのでしょうか?
もちろん、この作品のすごさは、戦国時代の駿府や古府中、諏訪をまるで手に取るように描き出し、生き生きと登場人物それぞれにしっかりと個性を際立たせた描写力に有ると思うのです。
それにしても作品が大河にするには短すぎる・・
短い作品に色を加えるとなると、新田次郎氏か津本陽氏の作品あたりから設定やエピソードを借りてこなければならず、そうなると更に原作の素晴らしい香りが消えうせてしまうのではないのでしょうか?

更に更に危惧するのは、戦う者のロマン、戦う者の哀しさ、そしてその中ではぐくまれ、実ることのない恋と言ったドラマにするということは、なにやら戦争賛美の方向へ向かいそうな気がしてなりません。
武田信玄といえば、信玄堤や甲州法度などの先進的な領国経営の良い面と、志賀城攻撃での生首三千や、黒川金山へ敵国の捕虜を送り込んで強制労働させたなどのマイナス面もあります。
諏訪御寮人にしても、歴史の被害者であって、身勝手な男に人生を翻弄された不運の女性と考えてはいけないのでしょうか?

いずれにせよ、作品には庶民の目線を失わないで、本当のイメージに近いものを出していけるように取り組んで欲しいと考えるのは、歴史マニアの自分勝手なのでしょうか?
by MYP2004 | 2005-09-25 20:54 | 神戸舞子から世間を見ると
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