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衆議院選挙で、自民党は本当に圧勝したのか

争点を郵政民営化一本に絞り、二者択一を迫って、
派手なパフォォーマンスで国民を思考停止に追い込んだ衆議院選挙が終わりました。
新聞には「自民圧勝」の文字が踊っています。

朝日新聞は一面に、ストライプのシャツを来た首相の満開の笑顔をカラーで載せ、
社会面には深夜、会見場から肩を落として去る岡田代表の姿を、
「白黒写真」で載せていました。
明暗を分けた様子を伝えたかったのかもしれませんが、
こういうマスコミの報道ぶりが、事の本質を隠蔽しまうんですよね。

これがテレビになるともっとひどい。
もう、目を覆わんばかりです。
視聴率という内部向けの数字を気にしているんでしょうが、
華やかな女性「刺客」候補の派手な選挙戦を振り返り、
「民意は郵政民営化を支持した」というメッセージを繰り返しています。

こういう情報に触れていると、「これが時代の趨勢なのか。
皆そう考えているんだな」という気分になってきます。
あとは「勝てば官軍」「長いものには巻かれろ」。
敢えて時代の奔流に逆らおうという気持ちにはなりません。
何しろムードに弱い国民性で、
大勢が決まったら「バスに乗り遅れるな」ですから。

そもそも、郵政民営化ばかり取り上げた時点で、
マスコミは本質の隠蔽に手を貸しています。
まぁ、権力に睨まれたくなかったのでしょう。
仕事がやりにくくなりますからね。

しかし、テレビがイラク問題や憲法問題、外交問題を繰り返し取り上げていたら、
小泉自民党の情報操作はここまでうまくいったでしょうか。
そして、選挙後のこの報道ぶり。
マスコミの太鼓持ちは延々と続いています。

ところで毎日新聞の集計によると、今回の衆院選小選挙区の有効投票総数のうち、
自民党候補の得票の占める比率は47.8%、
民主党候補は36.4%だったそうです。

しかし、自民党は定数300の小選挙区で、7割以上にあたる219議席を獲得、
民主党は4分の1以下の52議席にとどまっており、
得票率以上に議席数に差がつく、小選挙区制度の弊害がよくわかります。

今回の選挙の小選挙区の総有効投票数は、約6806万票。
自民党の得票数は全国総計で、3251万票余り。
一方、民主党は2480万票強で、両党の差は約771万票でした。

しかし、当選者が1人の小選挙区制度では、次点以下の候補者に投じられた票は、
惜敗率として比例代表の復活当選に反映される以外は、「死票」となります。
当選者が2人以上の中選挙区制と比べ、
得票率と獲得議席のかい離が大きくなる特徴を反映して、
議席数で4倍以上の差がつきました。

象徴的なのは、東京都のケース。
都内25小選挙区の有効投票総数のうち、自民党候補は約50%、
民主党候補は約36%の得票でしたが、獲得議席数は「23対1」でした。

つまり、自民党は伝えられているほどの圧勝ではないのです。
それなのに、「あんな暗い顔の男(岡田代表)はダメだ」の何のって、袋だたき。
まぁ確かに暗いですが(笑)、皆で敗者をこきおろす様子には薄ら寒いものが・・。
敗れた側に向けられる、この侮蔑と嘲笑。
明日は我が身かもしれないのに。

かくして、政権交代を不可能にするために自民党が推し進めた、
小選挙区制という狡猾な制度の欠陥を指摘する声は聞こえてきません。

自民党よ奢るなかれ。
国民よ騙されるなかれ。
日本は今、内憂外患です。
政府の暴走を許してはなりません。  by G2
by MYP2004 | 2005-09-12 18:08 | リビングから見た社会
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