なぜ、中国は靖国参拝に反対するのか

なぜ、中国は靖国参拝に反対するのか

これは、日中国交回復の時までさかのぼる必要があると思う。

国交回復を結実させる為に、越えなければならない最も大きなハードルは、戦争責任と賠償の問題だった。

中国側にとって、日本から賠償を取り、国の再建にあてれば良いという思いがあっただろう。
しかし、周恩来ら、当時の中国首脳の多くは、別な考え方をもっていた。
それは、彼らの多くがヨーロッパ在住の経験を持っていたことに起因する。
第1次世界大戦でドイツは敗北、多額の賠償金を背負わされた。
賠償金支払いのためにドイツは疲弊し、怨嗟の声がドイツ中に満ち満ちていた。
その声を拾い上げ、われらがゲルマン民族は偉大だ、と叫んだのが、ナチスだ。
その結果、どうなったか。それは、いわずもがな、だろう。
結局、恨みに報復したところで何の解決にもならない。
周恩来たちの間に、そんな意識があったのではないだろうか。

国内には日本からの賠償を待ち望む声。
しかし、日中国交回復は、なんとしてもやり遂げなければならない。

この矛盾を解決するために、彼らは「戦争を指導した日本政府」と「犠牲になった国民」を分離した。
悪いのは戦争を指導した一部軍国主義者だ。国民はその犠牲になった。
その意味から、我々中国人民と日本の国民は等しく同じ辛苦を受けたのだ。
そうして、自国内の日本からの戦後賠償を求める声を封じて賠償を放棄、日中の国交回復を実現させた。

日中国交回復は、一面では、こういう中国側の努力によって成されたと言えるだろう。
責任をいわゆるA級戦犯に押し付ける格好で、「政治的決着」を図った。
そして、日本からは、そうした中国側の配慮に応える形で、対中ODAや円借款などを決定した。
少なくとも、国交回復当初では、そうしたお互いの状況への思いやりがあった。

だからこそ、中国側にとっては、A級戦犯を合祀している靖国神社に日本の首相が参拝をすることは、こうした努力を踏みにじるものに映る。
歴史を重んじる国民性を持つ中国にとって、到底許容できるものではない。

靖国問題に対する、中国の過敏なまでの反応の背景には、こうした意識が働いていると思う。

by兵士シュベイク
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by MYP2004 | 2006-03-12 03:12 | サラリーマンのひとりごと
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