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ヒューザーとライブドアと震災と宮崎勤と

耐震強度の偽装疑惑で、ヒューザーの社長が国会の証人喚問を受けましたね。
喚問の中で、幾人かの有力政治家の名前が出てきました。

そして、この証人喚問が行われた日が1・17。そう、兵庫県の震災の日ですね。
しかも、宮崎勤の最高裁判決が出る日。
加えて、なんというタイミング! ホリエモンまでが家宅捜索を受けた!

まあ、こういうのを「下種の勘ぐり」というのでしょうがね。
私みたいな一介のサラリーマンにはどうでもええことですが。

高村薫さんの短編小説「父が来た道」(文春文庫「地を這う虫」所収)を思い出しました。
主人公はある有力政治家の運転手。彼は元刑事。父はその有力政治家の地元支持者で、政治家の汚職の罪をかぶって服役中。
物語の最後、疑獄を策略を使い、間一髪で免れた政治家。その姿を見た主人公は、こう思う。


 司直の追及をかわし、際どいところで不正を封じ込めた張本人は、慰みに孫の誕生日を思い出しながら、自分でプレゼントを渡そうとはつゆ思うこともなく、代わりに三日から繰り出す新たな策謀で、すでに頭は一杯なのだった。
 夫人はゴルフに行き、亭主は孫の誕生日のプレゼントを運転手に調達させる。世間が期待した構造汚職の追及の一方で、政治家たちの日常とはこれだった。市井の暮らしとはかけ離れたその日々について、なおも凡庸な魂の凡庸な嫌悪感はあったが、それ以上に慎一郎(引用者注:主人公)は、今こそ政治の世界の化け物に心眼を奪われた思いがし、ああ、父がのめり込んだのはこの感覚だったのかと一瞬考えた。事業欲もさることながら、服役の辛苦さえ父に呑み込ませ、痛恨さえ次のステップのためのバネにさせてしまうのは、この魔力だったのか、と。
 権力という魔力の効いた向う側の世界へ一歩踏み入れたが最後、世界の見え方が変わり、発想も感情も欲望もすべてが形を変える。家族を含めたすべての人間も、敵を叩き潰す闘争も力の誇示も、嘘も非道も、権力の魔力の下で回り続ける。そんな向う側で父は生きてきたのだと、慎一郎は初めて考えた。


今日の証人喚問でも、様々追及がなされていました。
政治家たちの政争の具として。
被害者の住民たちを置き去りにして。

by兵士シュベイク
by MYP2004 | 2006-01-18 00:19 | サラリーマンのひとりごと
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